20140408

fuchsia



別れの三月。

出会いの四月。




ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くからお祭りの音が聞こえてきた。

ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その音はひびいてきた。

そしてその音を聞いているうちに、僕はどうしても外に出たくなってきたのだ。



春の陽気に誘われた訳でもなく、必然的に、

僕は彼女の姿を頭の中に、必死に思い浮かべてみた。

それはまるで潤ったリンゴの実のような、

また、光の具合によっては鮮やかなカーマインのような色あいの褐色のブレザーコートを着ていたのを覚えている。


朱に交われば赤くなる

二回目の春を迎えたとき、少しだけその意味が分かるようになってきた。









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