別れの三月。
出会いの四月。
ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くからお祭りの音が聞こえてきた。
ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その音はひびいてきた。
そしてその音を聞いているうちに、僕はどうしても外に出たくなってきたのだ。
春の陽気に誘われた訳でもなく、必然的に、
僕は彼女の姿を頭の中に、必死に思い浮かべてみた。
それはまるで潤ったリンゴの実のような、
また、光の具合によっては鮮やかなカーマインのような色あいの褐色のブレザーコートを着ていたのを覚えている。
朱に交われば赤くなる
二回目の春を迎えたとき、少しだけその意味が分かるようになってきた。
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