空想の建築展に行って参りました。
「ピラネージから野又穫へ」と副題が付いた本展示ですが、
遥か古代ローマに思いを馳せ、
その空想的復元を版画として結実させたジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージや、
壮麗なバロック的空間を描いた<紙上>の建築家たち、
考古学的調査と想像力を駆使して古代エジプトの建造物を描いた18世紀末の絵師たち、
現在、創作活動を展開している現代の美術家までをとりあげていました。
父親と展示を見にきていた子供が、
「これ、昔の写真?」
と聞いているのを隣でくすっと笑いながら、
なるほど確かに今の子供から見たらそう見えるのかなと考えながら
そう思わせるほどのピラネージのエッジングに対しては、縦に首を振らざるを得ないのだろう。
とりわけ僕が驚いたのは野又穫さんの作品だ。
野又さんは東京藝術大学のデザイン科出身の作家。
僕らの大先輩にあたる方で、驚くほどの描画力、
そして、藤森さんの言葉を借りるならまるで記憶のデジャブのような、未来予知のような、
絵が、どこかにたどり着いてしまうような世界観がキャンバスに広がっていた。
この世界観は僕にとってドンピシャの感覚だった。
どこかで見たことあるなと思ったら、モダンタイムスやブルータワーで使われていたね。
読んだことは無いのけど、伊坂幸太郎の方は読んでみよう。
そしてなにより、展示をやっていた、町田市立国際版画美術館がいい場所だった。
あたりには広大な公園があり、静かで、気持ちがよかった。
暑い日差しが少し緩和されていて、公園に遊びに来ていた子供たちやその親達が、
恐らく展示を見に来ているわけでは無いのだろうが、
しかしそれが美術館をより気持ちよくしていたのだろうと感じる。
そこに美術館のあるべき姿が体現されていた。
建築を取り巻く空間や、スタッフさんも含めとてもツボだったので、また機会があったら行ってみたい。
こういう展示に行くとやっぱり無性に何か書きたくなる。
早く家に帰って、何か書きたくなる衝動に駆られる。
それは文字であったり絵であったり、文章であったりと形は様々だけど、
人が何かを感じたときに、それを表現したくなる感覚が湧いてくることは、
美大にいてよかったと感じる。
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